プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 104」

福居は2022年7月に37年間以上勤めた医療機関を辞めて、母校の大学図書館に通うようになった。今年7月まで通学すると丸4年通ったことになる。第2の大学生活を送ったと言えなくもないが、友人ができることもなく、懸賞小説の原稿を書くのと読書だけに集中した日々だった。それまでに成果が出れば、8月からはもう67才になったのだからのんびりしようと考えるところだが、成果が上がらず極貧生活を続ける身ではそんなことは言ってられない。それに母親の介護も落ち着いたとはいえ、長生きしてほしいのでまだまだ続く。東京で開催しているLPレコードコンサートは3ヶ月に一度の楽しみだが、日帰りであるが交通費が高くつくので捻出に苦慮している。年に一度のクラリネットの発表会は大きな楽しみであるが、近くにピアノ伴奏ができる友人がいたらもっとクラリネット演奏を楽しめるのにと思っている。そんなことを思いながら、芝生住宅東口からJR高槻駅行きのバスに乗っていると下田部のバス停でM29800星雲からやって来た宇宙人が乗車して来て福居が座っているシートの前に座った。福居が、谷さんもバスに乗られるのですねと言うとM29800星雲からやって来た宇宙人は福居の方を向いて照れながら話した。
「ジツハワシハバスオクンガスキデトコトコヌイグルミガホシイトオモットルンヨ。ソレカラショウギノキシサンタチヤハニタンノラッピングバスモアルカラツイツイノッテシマウンヨ」
「そうですか、ばすおくんは楽しいキャラだから、着ぐるみがもっと街に出てきてほしい気がしますがはにたんがいますからね。ところで今からどこに行かれるのですか」
「ジツハバスオクンノトコトコヌイグルミヲカイニイコウトオモットルンヨ」
「谷さんはゆるキャラのぬいぐるみを集めるのが趣味なんですか」
「ナカニハオモシロイノガアルカラネ。バスオクンガスキナノハ、キャラノタイショウニナリニクイノヲユルキャラニシタカラオモロイノヨ」
「そうなんですね、で、他に面白いのはないですか」
「タカツキシヤッタラ、セッツキョウトイマシロヅカコフントカブサンジガユウメイヤカラ、セッツキョウチャントカイマシロヅカコフンサントカカブサンジクントカカナア。アトポンポンヤマモアルカラ、ポンポンタヌキクントカエエトオモウンヤケドナア」
「ぼくも30年以上前に本山寺から登ってポンポン山の山頂まで行って善峯寺まで行ったことがあります」
「キョウトシニシキョウクオオハラノニアルオテラヤネ。ユウリュウマツデユウメイヤネ」
「よくご存じですね。ところで谷さんは最近たくさん観光地を訪れるようになった外国人観光客のような人なのですか」
「モチロンワシモカンコウハスキヤケド、ソレダケヤナクテグルメモキャラクターグッズモスキナンヨ。デモワシガシバシバオトズレルノハアンタニキョウミガアルカラナンヨ」
「そうですか、ぼくの自慢と言えば、人より少しだけ多く本を読んでいることとクラシック音楽に興味があってアナログレコードをたくさん持っているくらいでしょうか」
「シャシントッタリ、クラリネットヲフイタリ、ムカシハヤマニノボッタリ」
「でもどれもものになっていません。趣味に過ぎません」
「ソウヤロカ、ジミチニヤットッタラ、イツカヒヲフクジャナクテメガトビデルカモシラン」
「それを言うなら、いつか目が出るではないでしょうか。確かにお金の工面がつかなくなって続けられなくなる恐れはありますし、驚いて目が飛び出ることがあるかもしれません。でも楽しいことならネタに出来ますから大歓迎です」
「ヨシ、ワカッタ。ホタラアンタハコレカラハアンマリキバルコトナクフンバラハルンヤネ」
「そんな感じです」