心を動かした名盤(ブラームス クラリネット・ソナタ第2番)
私は小学生、中学生の時に音楽でよい経験がなかったため、高校では音楽を選択せず専ら聞く方でした。そうして大学生、社会人になって聞く音楽のジャンルは広がったものの自分で楽器を習おうという気は起こりませんでした。クラシック音楽やジャズ・スタンダードの名演を聞くと何度も聞きたくなりましたが、自分では演奏できないと思っていました。それでもカシオのキーボードやヤマハのシンセサイザーを買って指一本でメロディを奏でることはありました。でもそれ以上はできませんでした。というのは私は未だにコードが理解できないからです。なのでピアノ、キーボード、ギターなどのコードを理解していないと演奏できない楽器はメロディを奏でることしかできませんでした。それでもメロディだけならと思い、浪人生の時にトランペットを買って吹いてみたことはあります。しかし当時(今から48年程前)4万円ほどで購入した楽器もローレライのメロディが吹けるようになると近所迷惑になると思ってお蔵入りにしてしまいました。この時思ったのは、レッスンと大きな音が鳴らせる場所で練習しなければ楽器は上達しないということでした。またトランペットのような大きな音が出る楽器は自分には向いていないとも思いました。
私は浪人生の頃からクラシック音楽を聞くようになって、最初は大きな編成のオーケストラ曲ばかりを聞いていましたが、40才を過ぎた頃から交響曲、管弦楽曲、協奏曲より室内楽が好きになり、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの室内楽曲や器楽曲ばかり聞くようになりました。特にクラリネットのレオポルド・ウラッハはモーツァルトのクラリネット五重奏曲を聞いてそれまで感じなかった楽器の音色の美しさに魅せられました。クラリネットがメインの楽曲としては、モーツァルトのクラリネット協奏曲とクラリネット五重奏曲とケーゲルシュタット・トリオ、ベートーヴェンの七重奏曲、シューベルトの八重奏曲、ブラームスのクラリネット五重奏曲とクラリネット・ソナタ第1番第2番ですが、ウラッハのクラリネットの音色に魅せられてからはこれらのレコードをウラッハだけでなく他の演奏家でも集めるようになりました。ケル、ド・ペイエ、ランスロ、プリンツ、マイヤーなどの演奏でクラリネットの名曲を買い集めました。特に愛聴したのがド・ペイエが妹のヘフツィバーと共演したブラームスのクラリネット・ソナタ 東芝の赤盤レコードでした。ウラッハの同曲の演奏はまあまあでしたが、もう少し音の良いものを聞きたいと思った私はカール・ライスターとゲルハルト・オピッツのレコードを買いました。特に第2番がすばらしくしばしば聞くようになりました。そうして今までは憧れで済ましていたのを自分でライスターのような音で演奏出来たら楽しいだろうなと思うようになったのでした。そうして今から17年前私が50才になる少し前にJR高槻駅近くにあるJEUGIA高槻店に行き、クラリネットを購入してレッスンが受けられるよう手配(四条烏丸にあるJEUGIAミュージックサロン四条で今でも習っています)してもらいました。おそらくカール・ライスターとゲルハルト・オピッツ(ライスターはブラームスのクラリネット・ソナタを3回録音していますが、他は未聴)のブラームスのクラリネット・ソナタ第2番の演奏を聞かなかったら、クラリネットのレッスンを受けようと思わなかったと思います。それほどこのレコードのクラリネットの音色は美しく、優しく、安らぎに満ちていて、私の心を動かすのに十分な素晴らしい演奏だったのです。
カール・ライスター(cl)ゲルハルト・オピッツ(p) ブラームス クラリネット・ソナタ第2番第1楽章
カール・ライスター(cl)ゲルハルト・オピッツ(p) ブラームス クラリネット・ソナタ第2番第2楽章
カール・ライスター(cl)ゲルハルト・オピッツ(p) ブラームス クラリネット・ソナタ第2番第3楽章